自宅で手軽に本格的なコーヒーを楽しみたいと考えたとき、多くの人が最初に思い浮かべるのがコーヒーのペーパードリップではないでしょうか。
しかし、いざ始めようとすると「そもそもペーパードリップとは何ですか?」という基本的な疑問から、「どんな道具を揃えればいいの?」「一人分の分量は?」「コーヒーのペーパードリップのやり方は?」といった具体的な手順についての悩みが出てくるかもしれません。
さらに、味わいを左右するコーヒー豆の挽き方や、ペーパードリップでコーヒーを挽くときはどうすればいいですか?という点、そして最も技術が問われるペーパードリップのお湯の注ぎ方は?というコツに至るまで、知りたいことは多岐にわたります。
この記事では、美味しいコーヒーを淹れるための基本的な淹れ方から、100均でも揃えられる便利なアイテムまで、ペーパードリップに関するあらゆる情報を網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- ペーパードリップの基本的な仕組みと特徴
- 初心者でも揃えやすい必要な道具と選び方
- 美味しいコーヒーを淹れるための具体的な手順
- 味を左右するコーヒー粉の挽き方やお湯の注ぎ方のコツ
コーヒー ペーパードリップの基本知識

- ペーパードリップとは何ですか?
- 必要な道具は100均でも揃う?
- ペーパードリップでコーヒーを挽くときはどうすればいいですか?
- おすすめのコーヒー豆の挽き方
- 基本となるコーヒー粉の分量
- まずは一人分の抽出から試そう
ペーパードリップとは何ですか?

ペーパードリップとは、ドリッパーと呼ばれる器具に紙製のフィルターをセットし、その中に挽いたコーヒー粉を入れて上からお湯を注ぎ、お湯の重みだけでコーヒーの成分を抽出する方法を指します。
ろ過されたコーヒー液がドリッパーの底にある穴からサーバーやカップへと落ちる、極めてシンプルな仕組みです。
この抽出方法の最大のメリットは、手軽さと味わいの安定性にあります。
ペーパーフィルターは使い捨てのため、布製のネルフィルターのように使用後の洗浄や保管に手間がかからず衛生的です。
また、紙の繊維がコーヒーの油分や雑味、微粉を適度に取り除いてくれるため、クリアですっきりとした後味のコーヒーに仕上がりやすいのが特徴です。
シンプルな一方で、ドリッパーの形状、お湯の温度や注ぎ方、豆の挽き具合といった様々な要因で味わいが変化する奥深さも持ち合わせています。
そのため、初心者にとっては手軽な入門として、上級者にとっては自分好みの一杯を追求する探求の対象として、幅広く愛されています。
必要な道具は100均でも揃う?

ペーパードリップを始めるにあたり、特別な高価な器具は必ずしも必要ありません。
最近では100円ショップでも基本的な道具を揃えることが可能です。
最低限必要な基本の道具
まずは以下の3つがあれば、ペーパードリップを始めることができます。
- ドリッパー: コーヒー粉とフィルターをセットする器具です。台形型や円錐型など形状に種類があります。
- ペーパーフィルター: ドリッパーの形状に合ったサイズと形のものを選びます。
- コーヒーカップ: 抽出したコーヒーを直接受けるために使います。
あると格段に便利になる道具
より安定して美味しいコーヒーを淹れるためには、以下の道具も揃えることをおすすめします。
- コーヒーサーバー: 抽出量を確認でき、複数人分を一度に淹れる際に便利です。
- ドリップポット(ケトル): 注ぎ口が細く、お湯の量やスピードをコントロールしやすくなります。
- デジタルスケール: コーヒー粉やお湯の量を正確に計ることで、味の再現性が高まります。
- メジャースプーン: 大さじのようなもので、粉の量を手軽に計量できます。
100円ショップでは、ドリッパーやペーパーフィルター、メジャースプーンなどを見つけることができます。
まずは最低限の道具を100均で揃えて試してみて、こだわりたくなったタイミングでドリップポットやスケールなどを買い足していくのが、賢明な始め方と言えるでしょう。
ペーパードリップでコーヒーを挽くときはどうすればいいですか?

ペーパードリップでコーヒーを淹れる際、コーヒー豆を挽くタイミングと挽き方は、味わいを決定づける非常に大切な要素です。
コーヒー豆は、粉の状態にすると空気に触れる表面積が格段に増え、酸化による風味の劣化が急速に進みます。
そのため、最も理想的なのは、コーヒーを淹れる直前にその都度必要な分だけを挽くことです。
挽きたての豆で淹れたコーヒーは、香りや風味が格段に豊かになります。
豆を挽くためには「コーヒーミル」という器具が必要です。手動タイプと電動タイプがあり、それぞれに特徴があります。
- 手動ミル: 比較的安価で手に入り、挽くときのゴリゴリという音や香りを楽しめるのが魅力です。
アウトドアなど電源がない場所でも使用できます。 - 電動ミル: スイッチ一つで短時間に均一な粒度で挽くことができます。
忙しい朝でも手軽に挽きたてのコーヒーを楽しみたい方に向いています。
もしミルを持っていない場合は、コーヒー豆を購入する店舗でペーパードリップ用に挽いてもらうことも可能です。
その際は、できるだけ早く使い切れる量の豆を購入することをおすすめします。
おすすめのコーヒー豆の挽き方

ペーパードリップに適したコーヒー豆の挽き方は、一般的に「中細挽き」とされています。
これは、グラニュー糖と白砂糖の中間くらいの粒度を指します。
挽き方(粒度)は、お湯がコーヒー粉の層を通過する時間、つまり抽出時間に直接影響を与えます。
- 細挽き: 粒が細かいと粉の層が密になり、お湯がゆっくりと通過します。
これにより抽出時間が長くなり、コーヒーの成分が多く抽出されるため、濃くしっかりとした味わいになります。
しかし、細かすぎると雑味やえぐみまで出てしまう可能性があります。 - 粗挽き: 粒が大きいと粉の層に隙間が多くなり、お湯が速く通過します。
抽出時間は短くなり、成分の抽出が抑えられるため、すっきりと軽やかな味わいになります。
しかし、粗すぎると成分が十分に抽出されず、物足りない薄い味になることがあります。
「中細挽き」は、これらのバランスが取れた粒度であり、ペーパードリップで美味しさの成分を過不足なく引き出すのに適しているため、標準的な挽き方とされています。
もし味の調整をしたい場合は、濃くしたいなら少し細かく、すっきりさせたいなら少し粗く、というように挽き方を調整することで、自分好みの味わいを探求することも可能です。
基本となるコーヒー粉の分量

美味しいコーヒーを淹れるための基本は、正確な計量から始まります。
コーヒー粉の分量は、出来上がりの味わいの濃さやコクを左右する重要な要素です。
一般的な目安として、コーヒーカップ1杯分(抽出量約140ml〜160ml)あたり、10g〜12gのコーヒー粉を使用します。
これはあくまで基準であり、使用するコーヒー豆の種類や焙煎度合い、そして個人の好みに応じて調整することが可能です。
複数人分を淹れる場合の目安は以下の通りです。
杯数 | コーヒー粉の量 | 抽出量の目安 |
1杯分 | 10g ~ 12g | 160ml |
2杯分 | 20g前後 | 320ml |
3杯分 | 25g ~ 30g前後 | 480ml |
4杯分 | 35g ~ 40g前後 | 640ml |
杯数が増えるごとに1杯あたりの粉の量が少しずつ減っているのは、杯数が増えるとコーヒー粉の層が厚くなり、お湯と接触する時間が長くなるため、少ない粉でも効率的に成分が抽出されるためです。
最初はデジタルスケールを使って正確に計ることを推奨します。
毎回同じ条件で淹れることで、味のブレが少なくなり、自分好みの基準を見つけやすくなります。
まずは一人分の抽出から試そう

初めてペーパードリップに挑戦する場合、まずは基本となる一人分の抽出から試してみるのがおすすめです。
一人分の抽出は、使用する豆やお湯の量が少ないため、基本の動作を確認しやすく、失敗しても無駄が少ないというメリットがあります。
一人分の抽出で特に意識したいのは、お湯の注ぎ方です。量が少ないため、お湯を勢いよく注ぎすぎるとすぐに抽出が終わってしまい、薄い味わいになりがちです。
そのため、できるだけゆっくりと、細く、丁寧にお湯を注ぐ練習に適しています。
一人分を淹れる際のポイント
- 粉の量を正確に: 10g〜12gを目安に、スケールで正確に計量します。
- お湯の量をコントロール: 蒸らしを含め、合計で160ml程度のお湯を注ぐことを意識します。
- ゆっくり注ぐ: 特に中心部へ、細いお湯をゆっくりと注ぎ、全体の抽出時間をコントロールします。
この一人分の抽出で、豆の膨らみ方、香りの立ち方、お湯を注ぐ感覚などをじっくりと観察しながら行うことで、ペーパードリップの基本的なプロセスを深く理解できます。
基本をマスターすれば、二人分、三人分と量を増やしていく際もスムーズに応用が利くようになります。
美味しいコーヒー ペーパードリップの実践

- コーヒーのペーパードリップのやり方は?
- 美味しくなる5つの淹れ方ステップ
- ペーパードリップのお湯の注ぎ方のコツ
- 自宅でコーヒー ペーパードリップを楽しもう
コーヒーのペーパードリップのやり方は?

美味しいコーヒーを淹れるためのペーパードリップのやり方は、いくつかの重要な工程に分かれています。
それぞれの工程が最終的な味わいに影響を与えるため、一つ一つを丁寧に行うことが大切です。
大まかな流れは、「準備」「蒸らし」「抽出」の3つのフェーズに分けられます。
- 準備フェーズ: 器具を温め、フィルターとコーヒー粉を正しくセットします。
この段階を丁寧に行うことで、抽出中の温度低下を防ぎ、コーヒー成分が均一に引き出される土台を作ります。 - 蒸らしフェーズ: 最初に少量のお湯を注ぎ、コーヒー粉全体に浸透させて蒸らします。
これは、コーヒー粉に含まれるガスを放出し、お湯と粉を馴染ませるための重要な工程で、この後の抽出をスムーズにします。 - 抽出フェーズ: 複数回に分けてお湯を注ぎ、コーヒーの美味しい成分を狙った抽出量まで引き出します。
お湯の注ぎ方やスピードが、味の濃淡や風味のバランスを決定づけます。
これらのフェーズを正しく理解し、手順通りに進めることが、誰でも安定して美味しいコーヒーを淹れるための鍵となります。
次のセクションでは、この流れをさらに具体的な5つのステップに分けて詳しく解説していきます。
美味しくなる5つの淹れ方ステップ

それでは、具体的なペーパードリップの淹れ方を5つのステップに分けて解説します。
この手順に沿って進めることで、コーヒー豆の持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
ステップ1: 器具を温め、フィルターをセットする
まず、ドリッパー、サーバー、コーヒーカップにお湯(分量外)を注ぎ、全体を温めておきます。
器具が冷たいままだと、抽出中にお湯の温度が急激に下がり、コーヒーの成分が十分に引き出されない原因となります。
器具が温まったらお湯は捨てます。
次に、ペーパーフィルターの接着部分を互い違いに折ります。
これにより、フィルターがドリッパーに隙間なくフィットします。
ドリッパーにフィルターをしっかりとセットしたら、計量したコーヒー粉を入れ、軽く揺すって表面を平らにならします。
ステップ2: お湯を用意し、「蒸らし」を行う
お湯の最適な温度は92℃〜96℃です。
沸騰したお湯をドリップポットに移し替えると、おおよそこの温度帯に落ち着きます。
粉の表面を平らにならしたら、中心から外側に向かって、粉全体が湿る程度にゆっくりとお湯を注ぎます。
お湯の量は20cc程度が目安です。この状態で20秒〜30秒ほど待ちます。
これを「蒸らし」と呼び、コーヒー粉からガスが放出され、ぷっくりと膨らむのが理想的な状態です。
ステップ3: 1回目の注湯
蒸らしが終わったら、中心に500円玉くらいの大きさで、静かに「の」の字を描くようにお湯を注ぎます。
このとき、お湯がフィルターに直接かからないように注意してください。
フィルターに直接かかると、お湯がコーヒー粉を通過せずに流れ落ち、薄いコーヒーになる原因となります。
ステップ4: 複数回に分けて注湯
サーバーに落ちるコーヒーの量を見ながら、2〜3回に分けてお湯を注いでいきます。
注いだお湯が完全に落ちきる前に、次の注湯を始めるのがポイントです。
これにより、コーヒー粉の層がお湯に浸っている状態を保ち、安定した抽出が可能になります。
目標の抽出量(1杯分なら160ml程度)に達するまで、この作業を繰り返します。
ステップ5: ドリッパーを外して完成
目標の抽出量に達したら、ドリッパーにお湯が残っていても、ドリッパーをサーバーから外します。
最後まで抽出しきると、雑味やえぐみが出やすくなるためです。
サーバーに残ったコーヒーをスプーンなどで軽く混ぜ、濃度を均一にしてから温めておいたカップに注いで完成です。
ペーパードリップのお湯の注ぎ方のコツ

ペーパードリップにおいて、お湯の注ぎ方は味わいをコントロールする上で最も技術が求められる部分です。
同じ豆、同じ分量でも、注ぎ方一つで味わいは大きく変わります。
注ぎ口が細いドリップポットを使用する
まず、お湯を安定して細く注ぐためには、注ぎ口が細いドリップポットの使用が不可欠です。
一般的なやかんではお湯の量のコントロールが難しく、意図せず大量のお湯が出てしまい、抽出が速くなりすぎる傾向があります。
中心から「の」の字を描くように
お湯を注ぐ際は、コーヒー粉の中心部からスタートし、500円玉程度の大きさで、ゆっくりと「の」の字を描くように注ぎます。
中心部は粉の層が最も厚いため、ここを重点的にお湯を通すことで、効率的に成分を抽出できます。
外側にいくほど層は薄くなるため、あまり外側まで注ぎすぎないように意識します。
高さを一定に保ち、静かに注ぐ
ポットを高く持ち上げすぎず、できるだけ低い位置から、お湯をそっと「置く」ようなイメージで静かに注ぐことが大切です。
高い位置から注ぐと、お湯の勢いでコーヒー粉の表面が荒れてしまい、えぐみや雑味の原因となることがあります。
注ぐお湯の太さをコントロールする
注ぐお湯の太さも味に影響を与えます。
細く注げばゆっくりと抽出され、しっかりとした味わいに。太く注げば速く抽出され、すっきりとした味わいになります。
自分の目指す味わいに合わせて、ポットを傾ける角度を調整し、注ぐお湯の太さをコントロールする練習をしてみましょう。
これらの点を意識するだけで、コーヒーの味わいは格段に向上するはずです。
自宅でコーヒー ペーパードリップを楽しもう

この記事で解説したポイントを振り返り、自宅でのコーヒータイムをより豊かにするための要点をまとめます。
- ペーパードリップは紙フィルターで手軽に淹れられる抽出方法
- クリアですっきりとした味わいが特徴
- ドリッパーとフィルターがあればすぐに始められる
- 100均でも基本的な道具は揃えられる
- より美味しく淹れるならドリップポットやスケールが便利
- 豆は淹れる直前に挽くのが最も香りが良い
- ペーパードリップの推奨の挽き方は「中細挽き」
- 挽き方で味の濃淡を調整できる
- 1杯分の粉の量は10gから12gが基本
- 複数杯淹れる際は1杯あたりの粉の量を少し減らす
- 最初は一人分から練習するのが上達の近道
- 淹れる前には必ず器具を温めておく
- 最初の「蒸らし」が美味しさを引き出す鍵
- お湯は中心から「の」の字を描くように静かに注ぐ
- 目標の量に達したらドリッパーを外して雑味を防ぐ